特急「はるか」の敦賀延伸についての考察_北陸三県の希望は叶うか

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なにわ筋線独自情報

特急「はるか」の敦賀延伸についての考察

特急「はるか」を敦賀駅まで延伸してはどうかという意見があるみたいですね‥

この話は北陸新幹線の敦賀延伸開業(2024年3月)の話と関係しています。北陸新幹線延伸により、特急「サンダーバード」が敦賀←→京都・大阪間という短距離の運転になることから、これを機会に、敦賀←→関西空港というような特急を運転したらどうかという意見です。これは、かなり以前から、そういうことをいう人はいいました。

それって、趣味の世界の妄想のような話?

ところが、そうではないんですよ。2023.11.14には、北陸3県(富山県・石川県・福井県)の知事が懇談し、関西国際空港発着のアクセス特急「はるか」の敦賀延伸を要望していくことで一致という報道がなされているよ。おそらく、正式に、行政的なテーマになったのはこのときが初めてだと思うよ。

また、背景としては、いままでは(富山・金沢)‥「サンダーバード」‥→(京都)‥「はるか」‥→(関西空港)という乗り換えが出来たから、北陸新幹線の開業で、実質的には不便になるのをリカバーするという意味合いがあるんですよね。

どうして北陸3県はこの問題に積極的なんだろう?

インバウンドの関係だろうね。石川県には小松空港、富山県には富山空港があるけれど、やはりアジアの様々な空港と直結している関西空港という存在は大きいよね。たとえば、小松空港は「ソウル・上海・台北」の便しかないですし、富山空港は「ソウル・大連・上海・台北」の便しかないですね。もっと、インバウンド需要を取り込みたいんだろうね。

なるほど、インバウンド絡みか。

インバウンド以外にも、北陸から海外に行くときのルートということもあると思うよ。北陸の場合、①空路で羽田空港に出て国際線に乗り継ぐという方法と、②JRを乗り継いで関西空港に行って国際線に乗り継ぐという方法と、③ソウルなどで乗り換えるという方法といろいろあるからね。

実際、事業主体は、JR西日本だけれど、実現の見込みはあるの?

いまのところ、JR西日本が積極的に考えている様子はないわ。2024年3月の北陸新幹線開業時には、基本的には、いままでの運転本数をベースにして少し調整したような運転本数で「サンダーバード」「しらさぎ」を運転するということが既に公表されているわ。もし「はるか」の敦賀延伸ということが計画されていたら、もっと早期にリークされるというのが自然だしね。

考えて見ると面白い案なんだけどね。何がネックなんだろう。

「はるか」を敦賀まで延伸しようとすると、当然、京都←→敦賀の部分は湖西線を経由することになります。この、湖西線経由になってしまうことに問題があるといわれているよ。湖西線は冬の時期に、風雪の影響による遅延が多いことで有名な路線よ(特に遅延だけではなく、全面運休みたいなこともしばしばっ生じています)。そうすると、湖西線の遅延のために、京都・大阪←→関西空港というコアな利用にも影響がでることは避けたいと考えるのがJR西日本の発想じゃないかな。



なるほどね。

また関西空港線(日根野←→関西空港)も風の影響を受けやすい路線だしね。この2つを繋げてしまうと、非常に、風雪の影響を受けやすい広域ネットワークが生まれてしまうことは懸念材料ね。

なにか、いい方法はないのかな。

現在、一部の列車のみ、野洲‥大津‥京都‥新大阪‥大阪‥天王寺‥関西空港という運転をされている列車があるよね(昔は、米原発着でした。)。これを敦賀に延伸するという方法は考えられなくもないわ。湖西線ではないため、風の影響による遅延という可能性は減るし。ただ、JR琵琶湖線経由のため、時間はかなりかかることになるよ。

なるほどね。

ところで、実はこの問題と関係しているもう1個の問題があるよ。それは将来の「なにわ筋線」の開業問題なのだ。「なにわ筋線」の開業を機会に、特急「はるか」・特急「ラピート」の運転形態ががらっと変わるという話もあり、JR西日本の経営層はここも見据えて今後のことを考えているだろうという説が根強いよ。

特急「はるか」の敦賀延伸についてのJR西日本の対応

JR西日本は、特急「はるか」の敦賀延伸について、どういう方針なの?

2023.11.22の長谷川一明社長は「安全輸送にはリスクがあることから、利用実態や輸送面からみても困難」という言葉を使ったというニュースがありました。平たくいえば、実際の需要はそれほど多くなく、敢えて、直通特急を走らせるほどのニーズはなく、会社として検討していないという意味だと思われます。実際、JR西日本は、現時点での、福井・金沢・富山と関西空港との鉄道利用者数データを持っていて、どのくらいの需要があるか(ないか)を把握しているものと思います。